平成31年3月高砂市定例議会一般質問

1.第5次総合計画策定にあたり、対話型自治体経営シミュレーションゲーム
  「SIM2030」の導入検討

2.対話による協働のまちづくり
  対話・ファシリテーション・話しやすい空間づくり
  (1)自ら支える市民を育む
  (2)行政の考えを伝え、対話し、市政への参画意識を醸成する
  (3)市民と寄り添ってパートナーシップを持てる職員の養成

Q
それでは、2番、横田英樹が通告順に従いまして、一般質問をさせていただきます。
 大項目で二つございまして、一つ目が第5次総合計画策定にあたり、対話型自治体経営シミュレーションゲーム「SIM2030」の導入検討についてであります。
 まず、登市長の施政方針の総合計画の項目におきまして、第5次の総合計画の策定にあたっては、策定のための基本計画を定め、少子高齢社会、人口減少社会にあっても、笑顔と活力ある暮らしやすいまちづくりを目指す必要があると考えております。
 そのためにどうするか、本市のありたい姿を構築するため、市民の皆様、各種団体、事業者の皆様と一緒に考え、連携して共通、共有の計画にすべきと考えていますと発表されております。そのお考えには全く共感をいたします。具体的にはどういった手段をお考えでしょうか、ご所見をお伺いいたします。
 また、二つ目といたしまして、その有効な手段といたしまして、私なりには対話が必要であると考えております。行政の職員の皆さんの仕事は、市民の方が納めた税金と市民の方から信託された行政権限を行使して、市民の安全・安心、豊かな暮らしを向上させることにあります。
 この大きな責任感が、行政の判断は常に正しくあるべきという固定概念によって、過去に決定したことを覆すことへの抵抗感を抱いてしまうのだなと感じております。猛烈な勢いで世の中が変化をしている現在において、時代の変化に応じた対応力、持続的な行政経営力が必要ではと感じております。変化をするためには、市民の皆さんと共有できる客観的なエビデンス、根拠が必要であります。
 そして、納得を導くのは対話だと認識をしております。対話の要素は、一つ、情報共有、二つ、立場を超えることで対立を超える、三つ、ビジョンの共有であります。策定にあたり、対話の必要性については、いかにお考えでしょうか、ご所見をお伺いいたします。
 三つ目、対話のきっかけをつくるのによいツールがあります。今ご説明しましたが、「SIM2030」これ「SIM2030」といわれるもので、これは2013年に熊本市で誕生しました。数多くの自治体での導入事例があります。この「SIM2030」とは、将来に起こるさまざまな課題に対し、6人で一つのチームを組み、自治体のありたい姿を考え、制限時間の中でチーム内での対話に基づく政策選択を行い、判断を積み重ねていく対話型自治体経営シミュレーションゲームです。
 以下のことが体験できます。
 厳しい自治体財政状況の体感、二つ、対話で結論を導く手法の体得、三つ目、実際のまちづくりの現場で政策の選択と集中を決める場面で活用される。
 一つの事例を紹介させていただきます。
 山形県酒田市で2017年に総合計画策定に際して、市民参加の取り組みで市民100人による「SIM酒田2030」が実施されました。仮想都市で次々と起こる社会環境の変化に対応し、市民自らが政策の選択と集中を探る中で、自分たちのまちで起こることをどのように受けとめ、その中で優先順位を高いものをどう選択していくのかを仮想体験します。市民は、自分たちのまちに本当に大事なものを見つけていくとあります。
 今、実現しておる、ハード的には大型公共事業、また、ソフト的には、財政規模的には細かな目のセーフティーネットの実現は、まさに登市長の功績と感じております。
 将来への負担、具体的には先日の中期財政計画でありました、2023年には市債残高が現在よりも96億円増の460億円になる、この市債残高、将来への負担をしっかり担うためにも、第5次総合計画の策定は重要であります。策定にあたりまして、行政の皆さん、市民の皆さん、各種団体、事業者、議会の皆さんがともに高砂の将来について真剣に語り、考える機会をつくるのには、この「SIM2030」は非常に有効なツールと推察いたします。導入への淡い期待を添えまして、ご所見をお伺いいたします。
 二つ目の大項目でありますが、対話による協働のまちづくり、対話・ファシリテーション・話しやすい空間づくりの環境をつくるということであります。
 一つ目のお伺いですが、12月の定例会での一般質問でもこれを取り上げましたが、前回は市民のファシリテーターということで一般質問をさせていただきましたが、今回はその市民の養成が時間かかりそうなので、今回は職員の方向けということで質問させていただきます。
 現在、実施されておる対話による協働のまちづくりには、どういうものがありますでしょうか、ご所見をお伺いいたします。
 二つ目、高砂市の未来予測からでは、限られた予算の中で持続性のある行政経営には市民の自助力、共助力が大きな役割を担うと思われます。この力が増すことによってもたらされる歳入増、歳出減にはどのようなものがあると想定されますでしょうか。ご所見をお伺いいたします。
 三つ目、自助力、共助力のアップには対話が重要になってきます。対話から合意形成や相互理解を醸成するには、ファシリテーションが必要です。ファシリテーションとは、合意形成や相互理解を支援する、効果的、効率的な会議運営のことで、公平な立場でその場をつくるファシリテーターが必要であります。
 先ほどの質問の「SIM2030」にもこれは必要であります。ファシリテーターの要請は、一つ、多くの市民の方の市政への参画意識を高め、二つ、対話を通して、三つ、共同のまちづくりを推進し、四つ、自助力、共助力がアップし、五つ、歳入増、歳出減につながり、六つ、行政経営の持続性が高まるという流れが構築される可能性があります。この件、ファシリテーター養成についてのご所見をお伺いします。
 以上、壇上での質問は終わります。ご答弁よろしくお願いいたします。


A

(答弁:登幸人市長)
2番、横田英樹議員の一般質問にお答え申し上げます。
 まず1点目で、第5次総合計画策定にあたっての具体的手法についてということでございます。
 総合計画、第5次の総合計画の策定に際しては、高砂市総合政策に関する条例に基づき、総合政策審議会に諮問し、答申を受けたいと考えております。平成31年度の総合政策審議会では、委員構成を高砂市に関連する産官学金労言の皆様と、福祉、医療、観光などの各種団体の方、公募委員を含む市民の皆様にお願いしたいと考えております。
 この総合政策審議会におきまして、市民の皆様、各種団体、事業者の皆様と一緒に考え、役割を分担し、共通、共有する総合計画を目指してまいりたいと考えております。あわせて、市民満足度調査やさまざまな形式での意見交換会などを行い、幅広い世代の方、特に若い世代の方にご意見をいただくことも検討をしております。
 意見交換会におきましては、高砂市を取り巻く状況につきまして、基礎データをお示しし、高砂市の状況や課題について共有する工夫をするなど、有意義な会議にしたいと考えております。
 その計画策定にあたって、対話の必要性についてということでございます。
 高砂市のあるべき姿の検討には、多くの市民の参画を促したいと考えており、その参画には対話が必要であると考えております。総合政策審議会や意見交換会等において、対話を導くためには、まず、高砂市を取り巻く課題や状況を客観的なデータにより共有することが前提と考えております。
 その情報共有の方法には、さまざまな方法があります。例えば、昨年秋、今後の公共施設の方向性について、市の考え方、全体説明会及び各地区意見交換会を実施をいたしました。その公共施設の方向性については、公共施設の議論が必要な理由をデータにより説明し、意見交換会での論点、または会場での対話について、視覚的に目に見えるように、わかりやすく伝える工夫に取り組みました。
 手元の資料ではなく、論点と意見の概要を大きく掲示した紙にイラストと文字数を抑えた手書きの文字ではっきりとわかりやすく示すことで、参加された方は他の参加者や行政の考え方を把握することが容易にできるため、意見交換会では意見の重複が少なくなり、発言もしやすくなったという効果がありました。総合計画の検討の際には、情報を共有し、対話を心がけ、有意義な意見交換となるよう、審議会や意見交換会等の進め方について工夫をしてまいります。
 策定にあたっての「SIM2030」の導入についてでございます。
 熊本県庁の職員自主活動グループが発案した、自治体経営シミュレーションゲーム型の研修プログラムでありますが、現在は、全国で各自治体版、いわゆるご当地SIMが作成をされております。
 この「SIM2030」は、遊びや競争など、人が楽しく熱中するゲームの要素、参加者とのコミュニケーションに応用し、自治体の事業の選択を疑似体験することで、自治体経営の難しさや参加者同士が対話し、議論する楽しさに気づき、厳しい行財政運営を行う市役所を身近に感じていただける方法の一つであると認識をしております。「SIM2030」を体験した後、高砂市の総合計画に対してのご意見をいただくことも意見交換における対話の一つの方法であるとは考えてはおります。
 高砂市において、より有意義な意見交換会を開催するため、情報共有をする手段として、「SIM2030」高砂版をつくることについては、作成する人材や意見交換会を導くことのできる人材の発掘も必要となるため、他の情報共有の手法なども含め検討をしたいと、研究をしたいと考えております。
 続いて、大きな項目の2番目でございます。対話による協働のまちづくりということでございます。
 まず、高砂市における協働の位置づけということでございました。協働は、住民自治、自分たちで決めて自分たちで担うことであり、高砂市においても協働のまちづくりは重要であると考えております。平成13年に策定した第3次総合計画において、市民、企業、NPOなどの果たす役割について言及し、協働という表現を初めて加えました。平成23年に策定した第4次総合計画では、第1章、第1節に参画と協働の推進を設定し、協働に対する重要度は高まっていると考えております。
 少子高齢化と人口減少社会が進んでいることにより、人々の暮らしが変化しており、地域の課題の解決には協働による行動が求められていると認識をしております。
 次に、現在実施している協働のまちづくりということでございます。
 協働でまちづくりを行っていただいている組織として、自治会組織があります。防災・防犯、清掃活動など、地域の課題を包括的に取り組んでいただいております。また、市が取り組んでいる支援策として、地域の課題に対して自主的に取り組もうとする団体への補助制度、夢のシロや未来戦略推進活動支援事業、市が管理する公園や道路において、市民の皆様が取り組む環境美化活動への支援制度、アダプトプログラムなどを実施をしております。また、行政の計画等を策定する際に、広くご意見をお聞きするために組織している審議会や協議会等に団体の代表や公募による市民委員にも参画いただき、行政へのご意見を反映させております。
 最後の自助と共助と公助、地域の共生社会ということでございます。
 持続可能な行政経営を行うため、人口減少として少子高齢化に伴う課題を短期的に解消できない今、課題への対応の全てを行政主導で増大するのではなく、身の回りの問題に対しては、まず、個人や家庭で解決にあたる自助、そこで解決できない問題は地域の助け合いで解決する共助、行政が解決する公助の仕組みによって対応することが必要であります。
 どういう効果があるんだということでございますけれども、例えばとして、社会保障費について申し上げますと、社会保障費は毎年増大をしております。持続可能な社会保障制度を検討する中で考えられた地域共生社会、つまり、地域で支え合う社会の実現により、その課題を地域の共助で解決する活動が今取り組まれております。こういうことで、この社会保障費についても増大していくのを抑制していくものにできてくるのではないかというふうに思っております。
 対話に対する考え方でございます。全ての課題解決を共助、すなわち地域に任せるのではなく、互いを尊重し、対等の立場で協力する必要があることから、行政と地域を結ぶ人物の存在は重要であると言えます。また、地域の皆様と共同する際の意見交換の場面では、有益な意見を引き出すことができるよう工夫をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

Q
お伺いをいたします。
 先日の質疑の中での資料で、総合計画における策定基本方針の中で、策定の方針で1番目、総合計画の策定に多くの市民の参画を促す、未来のあるべき姿の検討には、特に若い世代、子どもの意見を生かすというふうにお書きいただいておるんですが、私も自治会の運営に携わっておる中で、この若い世代、子どもの意見というのを非常に取り入れにくいということは身にしみて感じておりまして、イメージでようございますので、今、どういったイメージでこれを実現されようとされているのかなというのが、イメージでいいのであればお伺いをしたいと思います。
A

(答弁:江谷恭一企画総務部長)
この意見の取り入れ方としまして、例えばワークショップであったりとか、座談会であったりとか、前の議会の資料にも書いておりましたが、一例でございます。こういった形になるかどうかはわかりませんが、子ども議会であるとか、そういった形では考えております。ワークショップ等々におきまして、そういった年代のあたり、いろんな年代の中でそういったワークショップ開くとか、そういった形で意見のほうを取り入れていきたいと考えております。

Q
次、二つ目ですが、策定スケジュールの中で、平成31年、2019年4月に総合計画戦略の評価、課題の整理とあるんですが、第4次の総合計画の目標値のチェックは、チェックをして検証しないと次の計画を立てるのに支障を来すのではないかなと思っておりまして、そのチェックはどのタイミングで実施されるんでしょうか。この中に表現としてないんで、ちょっとお伺いをできればなと思っています。
A

(答弁:江谷恭一企画総務部長)
総合計画の戦略の評価、あるいは課題の整理といったような形で、庁内部会あるいはワーキンググループのほうで、4月に予定のほうをしております。
 それから、年に2回ほど現状でも今の部の目標であるとか、課の目標であるとかといったようなところの評価のほうもしておりますので、半期に一度程度のほうをしていきたい。
 それと含めまして、2箇月に一遍程度、総合政策審議会、これも予定しておりますので、こういった中でも随時していきたいと考えております。

Q
そのデータのレベルにつきましては、昨年の決算特別委員会でご提示いただいた、それぞれのKPIに基づいた達成度というレベルでのデータになるんでしょうか。
A

(答弁:江谷恭一企画総務部長)
この計画については、まだ動いている途中でございますので、上半期、下半期といったような形での取りまとめの中でのそういった評価というふうな形になると考えております。

Q
総合計画についての三つ目の質問なんですが、第5次の基本計画の策定が2020年4月でありまして、第4次の結果が出る1年前に第5次の総合計画の策定に入る中で決定をしないといけないというスケジュールになると思うんですが、その結果が見えない中で走り出して、その結果いかんによっては、目標自体も触らないといけないというところが出てくるかとは思うんですが、その辺、前倒しで作成をする上においてのリスクマネジメントといいますか、変更及び修正についてのスピード感というのについては、どういうふうに今お考えなんでしょうか。
A

(答弁:江谷恭一企画総務部長)
現計画が平成32年度までございます。新しい計画、平成33年度からのスタートというような形になりますので、前年度の12月あたりに市民の意見であるとか、それまでの総合計画、総合戦略の評価、課題の整理をした中で、市民の意見を聞いて一定の基本構想、基本計画案を作成する中で、1年程度かけて最終のそういった策定のほうをしていきたいと考えております。

Q
財務面の件で、一般質問に絡んでお伺いをしたいんですが、中期財政計画、この前いただいた部分から見ますと、市債の残高が平成31年から平成35年にかけて96億円、今申しました増えるというところがある中での将来負担率というのも、実績でほぼ倍の数値になるというところ。
 それから、義務的経費等、明細が義務的経費と繰出金とその他経費、投資的経費と四つの項目での歳出の性質があるんですが、その中で義務的経費というのは、これはいたし方のない人件費とか、公債費とか、扶助費とかいうところが出てくると思うんです。
 その中で、繰出金とその他経費というのは、性質上、過去の政策決定のランニングコストというふうにみても、そんなに動くことがないと、ますます増えてくる可能性があるという中で、投資的経費がだんだん、だんだん減ってしまっているというところで数値を見れば、平成31年が4.0%、平成32年から平成35年にかけて2.2%、2.1%、1.6%、1.8%と金額にすれば約4億円から5億円が投資的経費にならざるを得ないといいますか、なっているんですが、投資的経費を増やすのにつきましては、経常的経費を減らす、経常的経費というのは、今申し上げましたように、過去の政策へのランニングコストというのが経常的経費とみれば、それを減らしていくことにおいて、投資的経費というのは、今後、やらねばならない、やるべき、やりたいことというのをやるコストになりますので、それも維持していかないといけないという流れがある中で、義務的経費と経常的経費と投資的経費の金額のバランスの中で、投資的経費を増やしていこうというスキルをどうやれば維持していけるのかという、ちょっと抽象的な質問になるんですけども、抽象的でも構いませんのでお答えいただければと思います。


A

(答弁:西山和仁財務部長
投資的経費を維持していく、いかないという前段でいろんな事業計画がございます。当然、これ今、大きな事業をやっている中で、そのはね返りというのは今後公債費に来るわけですから、必ずしもその投資的経費を維持していくのがいいのか、当然、これソフト事業もございますし、そういう中は全体の中で歳入も含めて、今言われた義務的経費、それから経常的経費、投資的経費、この辺はソフト事業も含めてバランスよく財政運営をしていくべきと考えております。

(横田英樹)
ありがとうございます。
 総論といたしまして、今やっていることを見直すということが、見直すといいますのは継続してやっていく、今後レベルアップしてやっていく、やめていくというところの三つのパターンがあると思うんですが、今やっていることを、いずれにしても今やっていることを見直すということになると思います。
 義務的経費以外の経費であれば、市の判断でやめる、縮小するという政策決定を行えば、その経費に充てていた財源を新たに今後やるべき、やりたい政策を実現するための財源に充てることができます。
 今までやってきたことを見直すことには、市民の皆さんにとって、仮に受け入れがたい選択肢になる場合もあると思いますが、その見返りは新たな政策推進ができると思います。
 10年先、20年先の未来の高砂市の姿を市民とともに描き、市民と約束をしたその理想の姿を実現することと引きかえに、過去の政策決定に基づき、これまで実施されていた行政サービスを見直し、見きわめるということについて、市民の皆さん、行政職員の皆さん、議会の皆さんと意識共有し、未来の安全・安心、豊かな高砂市実現のために対話が重要であると思っております。
 ともに考え、ともに協力し、事にあたるべきだと考えます。その入り口として、対話型の財務シミュレーションソフトの「SIM2030」が活用されるべきではと考えております。市民、行政、議会が三位一体となって、明るい未来あるまち高砂をともにつくれれば幸いと考えております。
 以上でありますが、この前、政策審議会行ったときに、市の職員の方でグラフィックレコーディングがスキルとしてお持ちの方がいらっしゃいましたので、その方には、ぜひとも参加をいただいて、何とか「SIM2030」の実現をご検討いただければというふうに思います。

 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。